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COFFEE COUNTY: 2017年5月 #クラスパートナーロースター

Kurasuが次にご紹介する#クラスパートナーロースターは、福岡県久留米市にあるCOFFEE COUNTY。ロースター、オーナーの森崇顕さんにお話を伺った。

 

-COFFEE COUNTYができる以前の経緯をお聞かせいただけますか?

 

コーヒーカウンティを始める以前はタウンスクエア コーヒーで勤めていました。大きな焙煎機で焙煎するような仕事や、その後コーヒー豆と器具を取り扱うお店で働いたりしているうちに、産地へ行きたいという気持ちが大きくなったんです。3ヶ月ぐらい、ニカラグアなど中米へ行きました。勤めていた会社で付き合いのあった農園などを訪問して、SCAEで行われたローストチャンピオンシップ世界大会にコーチで呼ばれたのでフランスのニースへ行って、ワイナリーを巡ったりしてからニカラグアに戻り、それから帰国しました。声をかけてくれていた会社もあって、また勤める事も考えたのですが、組織にいると自由に海外に行ったりすることも難しくなる上に、せっかく経験してきたことを活かせない。そう感じて、独立を決めました。

 

 

-農園での経験・魅力が次のステップを踏み出す方向に変えて行くきっかけとなったのですね。そこからどのようにCOFFEE COUNTYへと繋がっていったのですか? 
普通コーヒー農園を訪問するというと収穫シーズンか、実がしっかりついている時期や、カッピング、買い付けなどに行くものなのですが、僕は何もない時期に行きました。
5月にグアテマラでCOEに参加した後に、中旬頃からニカラグアに行きました。収穫も終わってしばらく経って、何もない季節。けれど普段誰も行かないその時期だったからこそ、生産者たちが普段何をしているのか、労働者たちはどんな環境で普段過ごしているのかを知ることができました。

 

農園には20万本近くが高低差400mほどもある山の斜面に沿って植えられているのですが、20kgもあるような肥料の袋を肩に担いで、毎日その斜面を上り下りしながら、一本一本肥料を撒いたり、草を刈ったり、育てた苗を植え付けたり、シェードツリーが茂りすぎれば伐採したり-本当に地道な作業ばかりでした。スペイン語を勉強して、農園に寝泊まりしながら農作業を手伝いながら過ごしました。

 

 

帰国後2、3ヶ月して店を作りました。妻の仕事の都合もあり、久留米市に店を構えることに決めました。以前住んでいた筑後市に比べると久留米は人も多く、工芸の盛んな地域です。久留米絣など織物の産地でもあり、福岡市が商売の中心地だとすると、筑後地方、特に久留米はモノづくりの中心地というイメージです。ショップが立ち並んでいるというよりは工房が多い。自然と僕も、ここでたくさん売っていこうというよりは、モノづくりの拠点としてこの店を捉えるようになりました。カフェを開く予算がなかったこともありますが、はじめから豆の販売に特化するつもりでしたし、人通りもあまりない場所ですが、こういうのもいいかな、と思って。だからお店、というよりも、作っている場所で買える、という感覚に近いですね。

-久留米という立地のなかで客層はどのような方が多いですか?

客層はやはり地元の人が多いですが、最近徐々に増えてきたなと感じています。久留米は福岡から 1時間弱かかるのですが、近頃はメイドイン久留米の靴など注目を集めている製品もあって、福岡から小旅行感覚で来る人が多いです。久留米に行って買う、という行為も含めて、全体的な体験としての商品価値を感じる人が増えてきているんです。 

 

-なるほど。そうなると豆の売り上げは個人が多いのですか。卸でしょうか。どのようにCOFFEE COUNTYのブランドを広げていらっしゃるイメージですか? 
場所柄、小売でどんどん売る、というよりも卸売が多いですね。3年が経って、地元にも知ってもらえて、売上も安定するようになりました。
コーヒーを落ち着いて飲んでもらえる空間も作りたくて、9月にはカフェを福岡にオープンしました。焙煎もカフェも、ひとつの場所で完成させられるのもいいけれど、久留米と福岡で0.5ずつ、あわせて1になるようなバランスも結構気に入っています。

 

久留米の店ではドリップのみを提供していますが、福岡ではエスプレッソも出していて、コーヒーの世界で経験を積んだ大山さんという方にお任せしています。店で作っているお菓子も、感覚のいい大山さんならではのいいものを出せていて、彼女がいたからお店を開いたと言えると思います。とても頼りになる方で、経営に追われることなく、自分の本来の仕事である焙煎に集中できるのは大山さんのおかげです。

 

-森さんの焙煎の特徴について教えていただけますか?

 

焙煎は基本的には昔から変わりません。僕のことを知っている人からは、僕の味がすると言われます(笑)自分でも、飲んでみると自分が好きなワインの味わいに似ているな、と感じることもあります。味の好みって、焙煎にしてもやっぱり普段飲んだり食べたりしているものに影響されるんですよね。焙煎で味を決めるのは、毎日焙煎して、カッピングして、を繰り返して、少しずつ自分が好きだなと思う味に近づけていく作業の繰り返しです。最終的に出来上がるものには、選ぶ豆はもちろん、自分の育ちまでもが影響しているな、全てが出ているな、と感じます。自分が自然と選ぶ物というものがあって、それを大切にしています。取引する豆の生産者を選ぶときもそうですが、味だけでなく、栽培への取り組み方や人柄の相性もあわせて考えています。

-農園との繋がりは今でも保たれているのですか?

中米へは毎年買い付けに行っています。ニカラグア、エルサルバドルやホンジュラスなど、一度に2、3ヵ国まわります。今年は1月にエチオピアに行って、先月にはインドネシアに行ってきました。日本にいて、輸入した豆を買っても美味しいものは作れると思います。自分が仕入れたものが、ノウハウのある商社が仕入れた豆よりも美味しいかというと必ずしもそうでないこともあるかも知れない。それでも、自分の目で見てきたものを伝える、そこに意味があると思っています。そういうものも、「おいしい」に含めた上で、やっていきたい。

-焙煎機はプロバットですよね?なぜこのマシンを選ばれたのですか?

 

 

はい、ヴィンテージのプロバット、1965年製です。ドイツから直接輸入しました。以前タウンスクエアではペトロンチーニ、工場で焙煎していた頃は大きなフジローヤルと、色々な焙煎機を経験しましたが、その中で一番相性が合うと感じたのが今のプロバットです。効率重視でないものづくり、職人のプライドやアイデアが随所に感じられます、無骨な見た目も気に入っています。

 

-COFFEE COUNTYとして、そして森さんの今後の展望はなんでしょうか?

 

特にこれといったものは何も考えていないです。 店舗を増やそうとも思っていません。

今の状態でほどよくバランスが取れているので、今の調子で、いただいている仕事に対して誠実に向き合っていこうと思っています。

今やっているスタイルの卸売り、楽しいんです。うちのコーヒーをちゃんと出してくれる、信頼の置けるお店の方を通して、自分の直接のお客さんじゃない人の反応を教えてもらったりして。そんな距離感や広がり方も自分に合っているのかな、と思います。自分でバリバリ規模を広げて、人を増やして、コーヒーをどんどん売って、という形ではなく、自分の手の届かないところでも自分のコーヒーが少しずつ伝わっていけば、自然と知ってくれる人も増える。しばらくはそうしていたいと思います。でも1年後何考えているかなんて、わからないですけどね(笑)

 

最近はコーヒーを飲むためのグラスを作ったりするのも楽しんでいます。手作りのもので、吹きガラスだったり、面白いものも多くて。うちのコーヒー豆のパッケージの絵柄も手描きで、風味をいくつかの種類に分けて、イメージに合う色をデザイナーさんに伝えて作っていただきました。かなりこだわったこともあって、完成するまで時間がかかったんですが、イメージにぴったりの風合いは本当に気に入っています。何にしても、量産できるデジタルのものよりも、人間的な、揺れのあるようなものが好きですね。

 

自分の手から生まれたものには、良くも悪くも自分の姿がしっかりと反映される。そのごまかしのきかない部分から目を背けず、隠そうとせず、自分がいいと思ったものを胸をはって表現していく。森さんのコーヒーには、また自然体で頑張ろう、そう思わせてくれる力がある。

 

COFFEE COUNTY公式ウェブサイト

http://coffeecounty.cc/

 

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