彼の代名詞と言えばパカマラのセミウォッシュドプロセスでその小さな発酵槽で生み出されるコーヒーは、エルサルバドルではあまり出会わない特有の爽やかで華やかなフレーバーを生み出しおり、現地のコーヒー関係者たちは、似たようなフレーバーに対して「エベルさんの味」と表現するほど、特別な存在でした。昨年度のCup of Excellenceにて優勝したのもパカマラのセミウォッシュドプロセスです。

今年もエベルさんのパカマラ種を紹介させていただくことができました。

いちじくや和梨の柔らかくジューシーな果実味の後、まるでブラウンシュガーを溶かしたかのような強い甘みが押し寄せ、フローラルで滋味深い余韻を残して引いていく穏やかなグレープフルーツの酸の抑揚とハーブの風味。

冷めてくると優しい黒ぶどうのようなフレーバーも...

「あぁ..美味い。」とつい声が漏れてしまいます。

エベルさんが2年前癌でこの世を去った後、彼のミレイディ農園は、奥さんのノレルビアさんの手によって運営されています。

この22/23Cropはノレルビアさんが一から手がけたもの。

彼女のパカマラ セミウォッシュドは、同年のCOEでなんと1位を獲りました。

作り手が変わる、ということはものづくり、特に味づくりの世界では生産物にとっても当人にとっても大きなターニングポイントと言えますが 、

その転換を超えた彼女のコーヒーが示す力強さと包容力には、僕も勇気を貰いました。

毎週、京都 西陣の焙煎所にて焙煎。